性欲が織りなすラビリンスに出口はあるのか

性欲って誰にとっても制御が非常に困難で悩ましいですよね?

性欲は睡眠欲・食欲に並ぶ三大欲求の一つでありながら、社会的にはあまり大っぴらにするものではないとされています。七つの大罪の一つにも挙げられていますし、仏教では煩悩の一つとされています。

とはいえ抑えられない欲求が存在する以上、それを対象にするビジネスも存在し性欲産業は今日では一大産業です。もちろん、こんな事は今に始まったことではないのは、「世界最古の職業」が一般に娼婦の婉曲表現であることからも窺うことができるでしょう。

とはいえ幸か不幸か人間というものは関連付けによって様々な情報を性欲と結び付けてしまえるのです。情報の氾濫する現代では性嗜好も多岐にわたります。特に日本は世界的に見てもポルノが多様だなんて話もよく聞きます。あまりに性欲の解消手段が溢れ返っているせいなのかなんなのか分かりませんが、最近若年層の恋人がいない率や童貞率・処女率の増加も話題になりました。

現代の性状況が果たして歪んでいるのか歪んでいないのか判断は難しいですが、今回紹介する『密会』はもしかしたら性欲が生み出すかもしれない一つの世界のお話です。

『密会』的性欲の迷宮

あらすじ

ある日男は妻を救急車で運ばれ、妻を追って病院に向かうが妻の姿はどこにもなかった。巨大な病院で妻を探す中、たくさんの奇妙な人々に出会い、気味悪く感じながらもいつしかその構造に取り込まれていって・・・。

感想

安部公房さんの小説は初めてでした。

構成が巧みで、最初は情報も少なく状況が把握しにくいですが、徐々に構造が明らかになるにつれて、自分自身もなんだか作中世界に迷い込んでいくような感じがしました。

印象的なのは各々が各々の形で性欲を貪っているところ。性欲に限らず個人の趣向がエスカレートしていく社会では、善悪の判断が成り立たない混沌が待ち受けているのかもしれません。もしかしたら個人の誕生と同時に生み出された迷宮は、今もじわじわと成長し続けているのでしょうか・・・。

読みやすさ

文庫本で約250ページ割と文字は詰まっていますし、序盤は構成の関係で少し状況が把握しづらいですが、世界観が把握できると割とスッと読めます。3時間強で読み終えることができました。

まとめ

テーマに興味がある人はもちろん、構成的が面白く巧緻なフィクションの世界が楽しめるので、そちらの点でもおススメです!

お読みいただきありがとうございました!
▼この記事を今すぐSNSでシェア!▼