それでも、世界に確かに「救い」はある

こんにちは!

憂鬱憂鬱 。明日の学校が憂鬱。発表が憂鬱。バイトが憂鬱。会議が憂鬱。とはいえ、時は進み続けてる限り、これらの憂鬱からはいつか解放されます。たとえ、その先に無数の同じような憂鬱が待ち受けているとしても。

なにもかも憂鬱なとき があります。いや、むしろ人間は憂鬱な状態こそ自然で、いつもなにかは頑張ったり、忙しくしたりして憂鬱から 目をそらしているだけ なのかもしれない。だから頑張ってきた一仕事が終わったとき、なにもするべきことがないとき、扱いようのない自分を持て余してしまう。少しニーチェっぽいですかね。

何もかも憂鬱な夜に(感想)

p1030672-edit_tp_v孤児で法務官の僕、自殺した友人の真下、死刑を待つ殺人犯の山井。それぞれがそれぞれの自分を持て余し、憂鬱を持て余す様子が綴られていきます。

一言に憂鬱と言っても、 人によって様々 です。生まれ持つ固有のなにかなのか。生い立ちのなかで生まれる何かなのか。それはわかりません。でもそれから逃れることはできない、という点は共通しています。

憂鬱から目をそらし続けることができる人は幸福です。どうしてもそれができないとき、周りに目を向けてみる。すると、同じように 憂鬱を抱える人たちの営み が目に入ります。(それが目に入らないのは 悲劇 です。)そうした営みに触れるとどういうわけか、共感がそうさせるのでしょうか、「 救われる 」という感覚になります。それは単純に目をそらし続けるときには得られません。

本作は中村さんの作品の中では物語に救いがある方です。もちろん物語に救いがあるからと言って、読んだ人が救われるとは限らない。でも憂鬱の中で足掻く登場人物たちの姿には、多くの人たちが救われるんじゃないでしょうか?

何もかも憂鬱な夜」も 救い がある。なんとか乗り越えていける。そんな世の中って そう悪くない って思いません?(たしかなにかのインタビューで中村文則さん自身は「小説に救われた」と語っていました。)

読みやすさ

中村文則さんの小説は他にも5,6冊読みました。そのうちレビューするかもしれません。文章も難解ではなく、ページ数も少ないのでどれも2時間ぐらいで気軽に読めます。でもどれも内容は軽くないです。

中村さんの小説は内面の動きが淡々と語られていくのが特徴です。手記の形をとることも多いです。決して理路整然とはしていないし、むしろ衝動的で飛躍があります。でもそんな心の動きがあまり引っかかることなく スッと入ってくる 感じが良いです。

まとめ

hps_kdie_tp_v憂鬱から目をそらさず、率直に素朴に綴られていて、力強い。そんな小説です。

自分の憂鬱から目をそらし続けられない人におススメです!

中村文則作品の入門としてもおススメです!

お読みいただきありがとうございました!
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