ルネサンスを産んだ一冊の本?

こんにちは!

芸術』とは一体何でしょうか?

建築物、絵画、音楽、踊り、詩などなど様々な芸術がありますが、ぼくは『論理が入りこめないもの』じゃないかと思います。なんか良くわからないけどイイって感じるもの、ありますよね?

では、『芸術』はどう生まれるのか、どうやって生み出すことができるのか?一握りの天才にのみ与えられた能力なのでしょうか?ぼくは万人にその素質はあるんじゃないかと思います。

重要なのはむしろ、何が『芸術』が生まれるのを妨げるのか、ではないでしょうか?

「時間の無駄。」「何の役に立つ?」「何の意味がある?」

誰しも少なからず頭に浮かぶ、一見合理的な考えが『芸術』を妨げているのかもしれません。

というかそもそも『芸術』は人生に必要なんでしょうか?そんなことを考えさせられる一冊です。

 

奇跡の復活

中世ヨーロッパ、教会による支配が強力で、様々な統制がなされていた暗黒時代。(最近ではそういう見方を見直す研究もありますが。)

そんな中、新たな時代のきっかけとなったのがギリシア・ローマの古典や芸術を復興しようとする文化運動すなわち、ルネサンスです。

情報の保存が非常に容易な現代では考えられないですが、当時は一度生まれた考えや思想が完全に失われてしまうということがあり得ました。一神教は多神教思想を嫌いましたし、戦争など危機になると学問は容易に切り捨てられました。本は筆写で、数世紀前のものとなると、物理的に紙やインクが劣化したり、虫にくわれてしまったりもします。

今回紹介する『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』は実際にギリシア・ローマの古典を探し求めたブックハンターのひとりであるポッジョの視点を中心に、その一冊『物の本質について』の奇跡的な復活を辿る歴史ロマンノンフィクションです。2012年のピューリッツァー賞を受賞しています。

抑えきれない思い

ブックハンターとなるには、読み書きはもちろん教養が必要です。当時はそういう人々は限られていて、権力を持っています(すなわち教会関係者)。

中世の聖職者の腐敗は良く知られてます。権力を持ちながらも、腐敗を嘆き、どうしようもなくギリシア・ローマの古典に惹かれて、ブックハンターになっていく様子が描かれていきます。

当時の手紙や記録からは彼らの葛藤芸術への渇望が伝わってきます。

物の本質について

本書のもう一つのテーマともいえるのが、エピクロス主義の思想です。エピクロス主義者(エピキュリアン)は快楽主義者と訳されているので、快楽に耽る自堕落なイメージがあるかもしれませんが、実際は全く違います。

現在読める代表的なエピキュリアンの著書が『その一冊』である詩人ルクレティウスの『物の本質について』です。ブックハンターのポッジョが発見します。日本語にも訳されていますが、詩の翻訳ということもあり結構読みにくいです。本書ではそのエッセンスを抽出し分かりやすくまとめてくれていて、そこだけでも読む価値があります。

語弊を恐れずに僕なりにフランクにまとめてみると、(関西弁注意)

『万物は原子でできてて、魂とかないねん。死んでも審判とかないから、死後のこと考えてストイックになっても意味ないで。生きてりゃ万々歳。自己実現とか下らんわ。人生の最高の目標は苦しみを減らして喜びを高めることなんやで。論理と妄想ごっちゃにしたらあかんで』

って感じです。シンプルでいい思想だと思いませんか?神とか倫理とかの否定につながるので、教会側としては排除したかったのでしょうが、論理的な反論も出来ず、エピクロスに自堕落なイメージを植え付けて、イメージダウンを図ったみたいです。

この思想自体が、中世の暗黒時代の行き詰まりを指摘しているところが、構造的に面白いですね。教会という妄想が人生の喜びを妨げている。現代はどうでしょうか??

復活したこの思想は様々な人々に影響を与え、世界を変えていきます

現代のエピキュリアン(感想)

エピキュリアンの思想は意外に現代人にしっくりくるのではないでしょうか?ぼくもそうなんですが、家や車など私有にあまり興味はないですし、そう考えると生きるのにかかるコストはどんどん小さくなっています。ネットは月数千円で使えるし、勉強なんかしようと思えば一人でできます。図書館もあるし。(僕はそんな感じのことを親に言ったら、「世間知らずのたわけ」と一蹴されましたが笑)

堀江貴文さんなんかがベーシックインカム導入を提案しています。別に働かなくてもいい。変な倫理に囚われて、疲れるよりずっといい。しんどいのは誰だって嫌ですよね?人間進歩してきたといっても、楽に生きられる社会はまだまだ実現されてないです。

結局、時間の使い方なんだと思います。消費するのは基本的に一瞬です。消費者マインドが染みついていると、どうしても不満が付きまといます。まあとりあえず生きてるし、時間もあるから人生楽しも、ぐらいの気持ちで人生の喜びを追求して生きられたらいいですね。『芸術』はそういう社会で自然に生まれてくるんじゃないでしょうか。

読みやすさ

300ページ強です。読みやすいですが、ぱらぱらと雑学的な挿話があるので、集中して一気に読める感じではないです。4,5時間かかったかも。文献を丁寧に当たっていて、当時の人々がどのように生きていたか具体的に描かれていて、リアリティがあります。

以下も良ければ!時間の使い方を考えさせられる一冊です。⇓

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お読みいただきありがとうございました!
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