こんにちは!
日本は世界有数の自殺大国だと言われています。
自殺者数の評価は非常に難しいですが、記録上年間2万人を超える人々が自殺しているようです。
つい先日(2016年)も電通の女性新入社員の自殺が大々的に報道されました。
自殺は根絶されるべきなのでしょうか?
そこまで言い切ることは僕にはできません。そもそも根絶するなんてことは多分不可能です。
けれど、防ぐことのできる自殺というのもあるはずです。
今回紹介する『自死』では、具体的な例を通して自殺を取り巻く様々な状況が描かれています。
様々な自殺
本書は以下の6章からなっていて、それぞれ具体的な事例が挙げられています。
- 学校と自死(いじめ)
- 職場と自死(過労、うつ)
- 宗教と自死(自殺者に対する日本人の考え方)
- 精神医療と自死(向精神薬が生み出した悲劇)
- 責任と自死(保険金目当てのもの)
- 高齢者と自死(孤独死、生活難など)
章の名前からも分かるように、個人の事情ではなく、ある程度一般的な状況からの影響をクローズアップして描かれています。
そこから、それぞれの状況の問題点が浮かび上がってきます。
自殺に見る現代日本の問題(感想)
どの状況からも感じたのは、深いところに根付いている日本人の考え方と個人主義・合理主義が不幸な絡み合い方をした結果、生まれてしまった悲劇だということです。
本書でも挙げられていますが、いじめ問題に対する学校の対応のように、保守的な選択をしてしまったり、また、投薬の話のように、一旦法律や規則が決まってしまうと、あまりそのことに疑問を持たなかったりというようなことは自殺の話に限らず日本ではよくあるのではないでしょうか?
そして問題が起きてから、やっと考え始めるのです。
日本人の考え方が悪い方に出てしまっているというような気がします。
果たして今後、日本人は個人主義や合理主義をものにしていくのでしょうか?個人的には、そう簡単に日本人の考え方が変わるとは思えません。
本書でも状況を改善しようと立ち上がる人々が多く描かれていますが、そうした人たちの力によって状況は徐々に改善されてはいると思います。
しかし、未然に悲劇自体が防げるようになっていかなければならないとも思います。
また、僕はまだ学生の身で、幸いにしてこれまで自殺が頭をよぎることもなく生活をしてきたので、完全に共感できる部分は少なかったのですが、いじめによって自殺した女生徒が残した詩は心に残りました。
皆は恵まれすぎているから退屈なんだ。
恵まれすぎてて、心が貧しいんだ。
思い返してみると、僕も周りも同じような退屈を感じていた気がします。その退屈はふとした拍子にエスカレートしたいじめに発展するのかもしれません。
現在の日本の教育と学生たちの退屈は単純には関連付けることはできないですが、青少年が退屈を感じるような教育はどうなのかなと思います。
読みやすさ
文章は平易で内容も具体的なので読みやすいです。
240ページ程ですが2時間ほどで読めました。
まとめ
卓見があるわけではないですが、具体的な現場の話からは色々と考えさせられますし、日本人ならではの姿も見えてきます。
そういうきっかけをくれる本です!
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